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弱い自分の支えでもあった者を亡くし、これからどう生きて行けばいい?
自分には、何が残っている?
何を生き甲斐に、何を理由に生きればいい?
慈英は自分の全てなのに……。
依存にも近い、詠の慈英に対する大きな愛情。二つ目の理由はまさしくそれだった。
慈英を深く愛しているが故に、忘れられない。忘れてはいけない。
辛くても、この事を強くその心に、自分の弱い心に刻まなくては。
そう、鮮明に――。
「……誰が何を言おうと、私は死ぬまで慈英を愛し続ける。その気持ちが、死神にとって禁忌(タブー)であっても。私の気持ちが永遠に伝わらなくても……!」
涙声でその言葉だけを引き出すと、詠はまた大声で泣き始める。
当然の如く、慈英は無言だった。
×××××××
「……詠、どないしたんや?」
聞き慣れたチームメイト――逢の声によって、詠は我に返る。詠の白い頬には涙が一筋伝っていた。
涙を拭いつつ、振り返るとそこには鮮血が如く真っ赤なTシャツと黒のミニスカートという大胆な格好をした、逢の姿。
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