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序章(二)-痛恨のミス-
彼の魂が天に昇り、転生してから十五年の時が経った。
女性が玉座に腰掛け、どこまでも広がる蒼穹(そうきゅう)を眺めていると、どこからか女性の部下らしき人物――薄緑色のローブを身に纏い、五芒星のペンダントを下げた女性的な顔立ちの男性が、女性の元へ姿を現す。
「紫唯羅(シイラ)様、ちょっとよろしいでしょうか?」
少し高めの声が、女性こと――紫唯羅の耳へ届く。
『様』付けされている辺り、どうやら彼女は高い位に立つ人物のようだ。
「どうしたのですか? 表情からして、緊急性のある用件とは到底思えませんが」
聖母マリアのような清らかな服装や優しい微笑みをしている割には、言う事に棘(とげ)がある。
しかし、彼はそれに何一つ動揺せず、笑顔を絶やす事なく言った。
「紫唯羅様、僕の五芒星のペンダントを知りませんか? さっきから探しているんですが、どこにもなくて……」
大事な探し物の用件を、そんな笑顔で言うな。紫唯羅はそう突っ込みたくなるのを必死に抑え、言葉を紡いだ。
「……そこにありますよ?」
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