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──その舞台の帰り道、劇場の最寄り駅の改札口に切符を入れる前のこと。
「あれ?優香、コートは?」
「え?」
付き合ってくれた美優(ミユウ)に聞かれて初めて気づいた。
漣斗くんに熱中しすぎた…。
美優は既に改札を通ってしまったので引き返せない。
どうする…どうする美優!
あの白いコートは一番のお気に入りだ!!
「ごめん!急いで取ってくるから待っててくれる?」
私はそう言うと美優の返事も聞かずにダッシュで劇場に向かった。
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