その頃の。

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「ロシェ、私だ。」 カチャ‥と軽い音を立てて扉が開く。 中から出てきたのは薄紅色の髪の青年。 キリッとしてかっこいいのだか、やつれているのが玉に傷といったところか。 「旦那様…」 声が震えている。 「なんだ?」 「……も、申し訳ございません!ブ、ブラックを逃がしてしまいました…!」 緊張のあまりかどもっている。 「…ブラックって…誰だったかな?」 「あ、ウィルド…吸血鬼のことです……」 余程怖いのだろう。体が震えている。 「……へぇ。逃げたのか。」 「あの、その…はぃ。」 楽しそうなリオルグとは対称的に、段々と声が小さくなっている。
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