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あれほどうるさかった村人の姿はない。
恐らく全員逃げのだろう。
「…さて、もうこの村にはいられないし…。」
血を飲みたいだけ飲み、呟いた声も虚しく一人、宛てもなく歩きだした。
そうして、気付けばその村は当の昔に見えなくなっていて、深い森の中にたたずんでいた。
「これからどうするかな…」
とりあえず…と、木の根本に座り込み、そのまま眠りについた。
髪と瞳はいつの間にか黒に戻っていた。
彼の名はウィルド・ブラック。
名家ブラック家の末裔にして吸血鬼一族最後の一人。
吸血をする際に変化した性格と金髪、エラメラルドグリーンの瞳はその証し。
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