「別々の道を歩む前に」

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心の声が聞きたい。 最後に聞かせてくれないか? 本当は、僕の事を どう思っていたのかを...。   お互い許し合ってきた事が 実は重荷になっていたんだろう。 付き合う時に二人で決めた約束は 一度も破りはしなかったよね。 言いたいこともあっただろう。 嫌なこともあっただろう。 だけど君は、 感情を押し殺してまでも 僕の言うことを聞いてくれたね。 僕はそのことに気づかぬまま ずっとずっと 君を傷付けていたんだね。    溢れ出る涙の粒は 二人で過ごしてきた 日々の思い出。 もう戻ることのない遠い記憶が 瞳の中には満ちていた。 こぼれ落ちる雫と共に 二人の思い出も 弾け、薄れて やがては忘れていくのかな。   「さよなら」を言う前に もう一度抱き締めていいか? 二人、背を向け歩き出す前に もう一度だけ。 君の温もりだけは 忘れたくないから...。
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