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凜 19才------
春の暖かな陽が降り注ぐなか、私たちは汗をかきながら最後の荷物をトラックに押し込んだ。
「よし!これで全部やな!」
と、たくましい声をあげたのは私の姉、純子だ。
階段の往復に疲れ果てた私は、額の汗を拭いながら姉に話しかける。
「このアパートも1年しか住まれへんかったなぁ・・・」
「前のマンションも確か1年くらいやったっけ・・・」
青々しい空を見上げながらお姉ちゃんは私に言った。
今日でこの街ともお別れだ。
そう、私が生まれ育った街、約20年間お世話になつた大阪の街。
ここから姿を消すことになるなんて思ってもいなかった。
「なんか、信じられへんなぁ・・・」
そう呟き、遠くに見える公園の桜を眺めながら、少しの間過去を振り返った。
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