夕日のころ

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「うん……分かった……」 写真に写る母は色白で線が細いものの、いつも笑顔だった。 病気だと言われなければ気付かないほどに。 「だんだんお母さんが若くなっていくね」 僕の知らない母を心に焼き付けるかのように、その輪郭を指先でそっとなぞる。 「ああ、俺もたまに写ってるぞ。俺と美香子が初めて会ったのは、小学校時代だったからな」 「へぇー知らなかったよ」 「出会いなんて、恥ずかしくて滅多に言えないからな。ははは」
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