夕日のころ

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思案していると、父は感動したように言った。 「……傍にいなくても、ちゃんと美香子の子として育ってるんだなぁ。何か考え事してる時、あいつはいつもそういうポーズとっていたっけ。懐かしいなぁ」 無意識に口元に手をやっていたらしい。 懐かしそうに目を細め、僕の仕草を見つめた。 いつの間にかゆうひの癖がうつっていたようだ。 「!?」 更にページをめくっていくと、僕は現れたある偶然に目を見張った。 「この服……」 幼い母の着ている洋服が、いつもゆうひが着ているそれと一致した。
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