夕日のころ

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「もしかしたらね、お母さんかもしれないんだよ!!」 そう訴えるも、父は首を傾げるだけ。 突拍子もないことを言っているのは承知しているが、僕の中で沸き起こったこの疑問には、そう思うに至る理由がある。 どう言えば伝わるのだろうか。 上手く言い表せない自分に腹が立つ。 「はしゃぎ過ぎて、熱出ちゃったのか?」 もどかしい会話が何度か繰り返された後、あるアイディアが浮かんだ。 父に直接会ってもらえば、“ゆうひが母なのかもしれない”ということへの答えが出るのではないだろうか。 当惑する父の腕を無理矢理引っ張ると、ビルへ向かって駆け出した。
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