夕日のころ

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「お父さん……信じられないかもしれないけど聞いて!いつもこのビルの屋上で会ってた女の子の話、覚えてる?」 「ああ、覚えてるよ。ゆうひって子だろう?」 「うん。さっき見たお母さんの小さい頃の写真、ゆうひにそっくりなんだよ。双子なんじゃないかっていうくらい似てるんだ!」 父は少し考えているようだったが、眉間に皺を寄せ、難しい表情をしている。 「そっくりだって言ってもなぁ……。世界には自分に似た人間が三人いるもんなんだぞ?」 「そうじゃないんだよ!服も同じだし、髪型も癖も痣もぜーんぶ一緒なんだ!うまく言えないけど、その子は夕日が好きだ……し……」
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