夕日のころ

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  ――分かって貰おうと懸命に説明しているうちに、僕の中で今までつかえていたものが外れるのを感じた。 悟のランドセルを担いで下校したあの日、空はどんよりと曇っていた。 屋上に向かうとゆうひはまだ来ておらず、誰もいなかった。 早く着き過ぎたと思い縁に座っていると背後に誰かの気配を感じたが、誰もいなかった。 雲が晴れて橙色の太陽が顔を覗かせた途端、ゆうひが後ろに現れたのだ。 屋上へ出るには、錆び付いた重いドアを開ける必要がある。
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