夕日のころ

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あの時すぐ謝ればよかった。 そうすればまた今日も会えたのかもしれない。 二度と会えなくなるなら、せめて笑顔で別れたかったのに。 夕焼け空に見入る父を余所に、僕は後悔で満たされていた。 「ゆうひ……」    お 母 さ ん ・・・ お願いです。 もう一度だけチャンスをください。 もう一度だけ会わせてください。 僕は神様にそうするように、地平線へと沈みかける夕日に手を合わせて祈った。
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