夕日のころ

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確かにその通りだ。 いつまでも悲しんではいられない。 今日がダメなら、明日また来ればいい。 明日もダメなら、明後日もある。 涙を拭きながら目線を風景へ移した時だった。 背後から消え入りそうだが懐かしい声が聞こえたのは。 「旬……豊さん……」 父と顔を見合わせてからゆっくり振り向くと、そこにはゆうひが立っていた。 やはり少しも音は立てることなく、まるで天から舞い降りたようだった。  
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