夕日のころ

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怒ったような母の口調に、照れたように頭を掻く。 どうやら母には頭が上がらないらしい。 「でも、ちゃんと分かり合えて良かった。すれ違ってはいても、お互いはちゃんと想い合っていたのね。さすがは私の家族!」 三人で声を上げて笑う。 憧れていた家族揃っての団欒が実現したことに、喜びを隠せなかった。 いつまでもこの時が続けばいいと、心から願った。 しかし、それははかない現実。 決して続くことはない、つかの間の夢。 いつしか辺りは暗さを増し、陽の光は弱くなっていた。
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