夕日のころ

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「美香子……そんなこと言うなよ……。俺の方がお前を愛してるんだから。こちらこそ、ありがとうな……」 父は泣くまいとしているようだったが、無駄だった。 次々に溢れる涙は、止まることを知らない。 「旬……?」 胸に抱きしめたままの僕をそっと離し、膝をついて視線を合わせる。 先程よりも光は強くなっていた。 「今までよく頑張ったわね。辛いこともあったけど、もう独りぼっちなんかじゃないわ。あなたを想ってくれるかわいい女の子もできたみたいだし、お母さんすごく嬉しいわ」 「最後みたいなこと言わないでよ!これからも一緒にいてくれるんでしょう!?」
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