夕日のころ

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すると母は首を横に振った。 瞳に雫が光る。 「あなた達に会えるのは、これが最後なの……」 「嫌だ嫌だ嫌だっ!ずっとここにいてくれなきゃ嫌だよ!ずっと一緒にいるんだぁっ!」 「旬……我が儘言っちゃ……駄目だろう?お母さんが困っちゃうから……な?」 取り乱す僕を、父が宥める。 父も僕と同じ気持ちなのが痛いほど伝わってくる。 眉間に皺を寄せ、歯を食いしばっていた。 「お母さん!もうどこにもいかないでよ!僕、もう我が儘言わないから……お父さんとお母さんと僕とで仲良く暮らそう?ずっと僕達の傍にいてよ……!」
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