夕日のころ

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  「旬……?」 必死にお願いする僕を見て、母は困ったように微笑む。 分かってる。 これは、変えられないことなのだと。 でも、離れたくない。 もっと一緒にいたい。 やり残したことがたくさんあるんだ。 一緒に観覧車に乗りたい。 皆で食卓を囲んで、母の作る美味しいご飯を食べたい。 「またお別れしなきゃいけないなんて……絶対嫌だよ……!」 「――――!」 抱きしめられたが、既に母の体温はなくなっていた。
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