―屋上から―

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  ――あれから六年の歳月が経った。 僕は高校生になり、かつて受けていた虐めから完全に立ち直り、青春を謳歌している。 あの日起こった奇跡は、今も僕達の心の中にある。 夕日が出てる時ではないと会えなかった母は、まるで夕日の精みたいだった。 父とそんな思い出話に花を咲かせていると、まるでつい最近あったような、そんな気持ちになるから不思議だ。 そういえば、母に一つだけ言い忘れていたことがあった。 “父と母の子供として産んでくれて、ありがとう”と……。 一時は自殺まで考えたが、今こうしてここにいられることが、とても嬉しい。 僕にとっては自慢の父と母だ。
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