―屋上から―

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  「ねぇ旬、まぁたボーっとしてるよ」 「あ、ごめんごめん」 ビルの縁に座って眺めると、あの頃とちっとも変わらず綺麗な夕日が僕を魅了する。 建物は増えたものの、ここに座る度、タイムスリップしたような感覚に陥る。 ここは、僕にとってかけがえのない時を過ごした場所だから。 「ホントに旬はここが好きなんだねぇ」 呆れたように言う。 「ゆみは違うの?」 金子さん……今は彼女となったゆみ。 晴れた日の僕らのデートスポットは大体ここが多かった。
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