176人が本棚に入れています
本棚に追加
駅を出発してから20分ほど歩いた時、ようやくノボルの足が止まった。
…ナツミの目の前に現れたのは小高い丘。
その丘からはさっき歩いてきた商店街や住宅街がちっぽけに見え、まるで天国から見下ろしているかのようだった…
2人は丘の頂上の大きな木の下にあるベンチに腰掛けた。
歩き疲れた2人にとって、この場所はとても居心地が良かった。
「ここ、俺らの秘密の場所なんだ…」
「…俺ら?」
俺ではなく、俺らと言ったノボルの発言が気にかかり聞き返した。
「ん?あぁ…俺と妹の秘密の場所だったんだ。ここ」
「ノボルって妹いるんだ」
ノボルから妹の話を聞いたのは初めてだった。
「いるっていうか、いた…」
最初のコメントを投稿しよう!