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次々と舞い降りてくる雪は、なぜかピンク色に見えた気がした。
「桜…みたいだな」
「うん」
真冬の空に舞う花びらは、『私も幸せ』だって返事してくれてるみたいに見えて…。
理由の分からない暖かいものが、私の頬に筋を描く。
ふ、と目をやると私の左手を握っている陵海の薬指には、私の左手の薬指にはめられている指輪と同じ指輪がはめられていて…どこか愛しい笑みがあふれた。
『愛してる…』
タイミングをはかったわけでもないのに重なった、同じ言葉に、私と陵海は笑いあった。
幸せで、楽しくて、愛しくて。
舞い降るピンクの花びらは、私達を祝福してくれてるみたいに思えた。
特別編 『真冬の桜』
-完-
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