終業式

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春には華麗な花を咲かせ、夏には葉を茂らせ、秋には紅く紅葉させた。 ここに来てから、もう八ヶ月。 朝起きて、毎日見て、毎日違う表情を見せてくれた木。 今は、葉もなく残った枝がただ寂しそうにしている。 その木を見下ろす位置にある部屋。 鈴華学院生徒会長室の特別ルームの中の生徒会長補佐の部屋だ。 「よしっ!」 その部屋から、女だと分かる声が聞こえてきた。 大きな、旅行用の鞄のチャックをどうにか閉めたところ。
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