1章 旅立ち

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「ねぇ、なんで逃げて来たの?」 まだ朝食の途中だったせいか、ファーニはすこし機嫌が悪そうだ。 「あぁ…兵士の連中がな、シンのこと聞いて来た。」 「っ…な、なんで?」 一瞬ファーニは言葉を詰まらせたが、その質問は俺に聞かれても困る。 俺はシンの方に視線を送った。シンは表情を変えずに樹海の景色を眺めている。 「ねぇ~シン?」 「…とりあえず、もう少し遠くに行かないとまた連中が来るぞ。」 シンは話す気がないみたいだ。 思えば、俺らはお互い過去について何も話をしていない。 言いたくない過去なのはわかるが、今はお互いのことを知らないと何もわからない。 とりあえず樹海を抜けて町に出るか。 もう、あの家には戻れないだろうから…。    
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