3章 樹海

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「ぐわぁっ!」 兵士は茂みの方へ飛んでいってしまった。 やりすぎたな…。 「……!!」 突然、俺は膝をついてしまった。一瞬、目の前が真っ白になった…。 立ち暗みか…? そう思った時に目に付いたのが道中に咲いていた花だ…。 見たことのある花で昔から俺の苦手な香りだった。 「なぁ、ファーニ。そこに咲いてる花はなんだかわかるか?」 「……?」 いきなり話しかけられてビックリしていたが、次の瞬間「ハッ!?」とし、話し始めた。 「…あれは花じゃないよ。きまぐれ草っていう草だよ。 昔は匂いだけで眠りやしびれを引き起こして大変だったらしいよ? 見た目が花だから花飾りにしちゃったりしてね。 でも花が咲く前は普通の雑草と同じだし、花が咲いてからも枯れるのはそれによって違うし、症状も違うからね。 それできまぐれな雑草と呼ばれてるんだって。 今では多くの人には影響ないけど…多少悪い匂いを出してるから、あんまり吸ってたら体に悪いよ?」 やっぱりか…俺はあれにやられたんだろうな。 厄介な雑草もあるもんだ。
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