みなの病気

5/7
前へ
/497ページ
次へ
温厚でいつも笑顔の父のあんな顔を見るのは初めてで、アタシはすごく不安になった。 何があったの? みなは大丈夫なの? なんだかすごく怖くて身体が震えた。 布団の中で小さくうずくまって目を閉じた。 そして、心の中で小さく呟いた。 大丈夫、きっと大丈夫……。 呪文のように何度も呟きながらアタシは眠った。 いつものように朝が来て、いつものようにお母さんがアタシを起こして、いつものように着替えてリビングに向かった。 でも、みなはいない。 いつもとは違うのだ。 用意された朝食を静かに食べた。 一夜過ぎてもどこか空気が重くて、アタシは真っ直ぐに両親の顔を見ることができなかった。 お父さんもお母さんもどこか少し元気がなくて、アタシはなんだか寂しかった。
/497ページ

最初のコメントを投稿しよう!

819人が本棚に入れています
本棚に追加