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温厚でいつも笑顔の父のあんな顔を見るのは初めてで、アタシはすごく不安になった。
何があったの?
みなは大丈夫なの?
なんだかすごく怖くて身体が震えた。
布団の中で小さくうずくまって目を閉じた。
そして、心の中で小さく呟いた。
大丈夫、きっと大丈夫……。
呪文のように何度も呟きながらアタシは眠った。
いつものように朝が来て、いつものようにお母さんがアタシを起こして、いつものように着替えてリビングに向かった。
でも、みなはいない。
いつもとは違うのだ。
用意された朝食を静かに食べた。
一夜過ぎてもどこか空気が重くて、アタシは真っ直ぐに両親の顔を見ることができなかった。
お父さんもお母さんもどこか少し元気がなくて、アタシはなんだか寂しかった。
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