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「つか今日何しに来たんだ?部活ないだろ?」
静かな部活ならともかく、合唱部なら活動していれば気が付く筈だ。
いくら窓を閉めきっていたとはいえ、歌声が微塵も聞こえなかった。
「何しにって……凛寧君に会いに来る以外に何しに学校来るって言うのサ?」
いや、他にも目的はあるだろう。
そう思ったが、敢えて指摘しなかった。
きっと桐原には目的はそれだけで十分なのだろう。
それになんとなく反論されるのが怖かった。
そういえばこいつストーカーなんだよな。
付き合いの長さのせいかついそういった基本的な事を忘れそうになる。
「で、なんでこんな所にいたんだ?」
確か凛寧は教室で補習の筈だ。
「すめにぃと君に用があったから」
「は?俺?」
珍しい事もあるものだ。
どうやらこいつの頭の中には俺も存在していたらしい。
「すめにぃ職員室だから、先に教室に行ってて」
部室に行く桐原と別れ、俺は教室に向かった。
部室棟から教室のある中等部校舎までは多少距離がある。
文芸部の部室が三階、そこから一階まで降りて、体育館と高等部の校舎を回って昇降口を通って、更に三階に俺の教室はある。
中々に広い学校なので移動教室の時等はうかうかしていられない。
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