流されるだけ

2/7
196人が本棚に入れています
本棚に追加
/537ページ
 ここは、何処だ? まず、初めにそう思った。  少年は、やけに落ち着いているように見える。  ここは、何処だ? いきなり、こんな訳のわからない場所に立っていたのだから、当たり前だが。  何処だ、何処だ、何処だ?  何処だ、何処だ、何処だ?  何処だ、何処だ、何処だ?  何処だ、何処だ、何処だ?  何処だ、何処だ、何処だ?  何処だ、何処だ、何処だ?  頭の中が、疑問付で埋め尽くされる。  時間が止まったように感じた。あるいは、時間が逆戻りするように、頭の中が真っ白になる。 「よう、無事みたいだな」  無事?  僕は、大丈夫なのか?これって、無事って言うのか?この少年は、何者だ?  何だか、変だぞ?  どうしたっていうんだ?  どうしろっていうんだ? 「……君は?」  君は、誰だ?  多分、そう言いたかったんだろうが、言葉が続かない。 「その前に聞きたい事がある。体に異変はないか?」 「へ?」  僕は、自分の体を触って確かめた。  普段と、何も変わらない。怪我もしていないようだ。 「……別に、何とも」 何が、言いたいんだ。この少年は? 「おいおい、貴重品か?とんでないの引き当てちまったな……」 少年は驚きながら、苦い表情を浮かべた。
/537ページ

最初のコメントを投稿しよう!