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都会
光り輝くネオン。うるさい町並み。汚い空。道には人人人人人…。ついでに車。
東京渋谷。
俺達はここ1番の勝負服を長い旅でぐちゃぐちゃにして人ゴミから顔を出した。
「ハハハッ。ついにきちまったな。」
そういって流は腰を伸ばした。と同時にサラリーマン風の男がぶつかってきた。
流は手にもった沢山の荷物もろとも冷たいアスファルトに尻餅をついて転んだ。
「コラッ!なにすだ!」
流は叫んだがサラリーマン風は振り返ることもせず足早に去って行った。
「おい!待てコラッ!おーい!……ッたく冷てえな東京もんは。」
流は口をとがらせてアスファルトに転んだまま立てないでいた。『はっきりいってお前邪魔』と思った大は流に手を差し延べた。
「これからいばらの道進ってのにお前ちょっとしたことで冷たいとか言ってんなよな。ほら立て。」
ムスッとした顔をしながら大は人目を気にするように流につぶやいた。が誰ひとり叫んだ流を見てはおらずただ黙々と前を見て歩いている。
どうやら皆自分自身だけで精一杯の様だ。
「自分でたつからいいわ。」
大の優しさを蹴散らして流は自力で立ち上がった。
「よしいくか。」
本城流
塚本大
共に21歳。
二人は夢を叶えるため東京へ進出した。
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