鮮やかな紅(くれない)

4/8
前へ
/53ページ
次へ
「鬼の若松」に見つからない様に、そぉーっと三組の教室を覗いてみた。 運よく新汰は一番後ろの席に座ってたから、すぐに発見できた。 おぃ。おぃ…。 寝てるよ…。 寝顔が可愛いなぁ。 気が弱いんだか、図太いんだか、よく分かんない子だね。 じぃちゃんの話を聞いた時、何だかなぁ…安心しちゃったんだ。 ボクは独りじゃないって…。 あの土手に座って、二人で青空を眺めたい。 そして、楽園に住んでる神様へ語りかけたい。 新汰に惹かれてるのかな? 口元に光るヨダレを見たら笑っちゃって、うっかり確信してしまった。 やっぱりボクって…「カワッテル」 この後、若松の怒号が校舎中に響き渡るんだろう。 「ご愁傷さまデス…。」 チャイムが鳴る前に教室に戻りたかったし、急いで下駄箱へ向かった。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加