第二章 「double punch」

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 クラスのツートップが決まり、難なく委員会決めは終了した。  そして後日行われた全学年の委員長・副委員長を集めた委員会で秋は入谷樺音の性格を思い知った。  クラス内の入谷樺音は何時も明るく元気でいて面倒見もよく外交的で、姉御肌よりかはみんなのお母さんという方がしっくりくる印象である。  しかし彼女には独特のルールが存在した。 「せっかく二人いるんだから、二人で頑張ろう。ね?」  委員会の場で初めて交わした会話がそれだったが、その時はただの意気込みだと思った。しかし…………秋の予想は違っていた。  そして委員会でのトップやら書記やらを決めた後に年間行事用紙をもらい、一番早くやって来る球技大会の種目決めに移った。  黒板には数々の屋内外競技種目が並んでおり、各クラスの委員長が挙手をする多数決で決める運びとなった。 「ねえ、三神君何にしよっか~」  先ほど初めて話したにも関わらず、彼女は非常にフランクに接してきた。 「あっと……入谷さんに任せます」  どうしても最初は性格なのか、秋は敬語で反応してしまう。  その人物に慣れれば崩せるのだが、一年の時は、女子と話しても一言二言だった。たまに例外があり、すんなり入って来る人もいる場合は、それなりに会話も続く。  秋は時たま、年下相手にも敬語になる時すらある。
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