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女の子は次々と質問をしてくる。
返事があるわけでも無いのに、熱心な事だ。
まあ、心の内では私も返事をしているのだが。
「ねえ、おっきな木さん。あなたはいくつなの?」
私の年齢かい?
いったい何歳なのだろうね。残念ながら私自身にも分からない。
年など、とうの昔に忘れてしまったよ。
……そうだな。たしか、百を越えた辺りから数えるのをやめたんだ。
年を数えることになんの意味もないと気付いたからね。
「えっとね。私は五歳なの」
ほう。お嬢ちゃんは五歳なのかい。
いったい私の何十分の一になるんだろうね。
その後も、女の子は次々と質問を続けた。
どうやら私のことが興味津々といった様子らしい。
やれやれ……。自分の事をやたらと聞かれるのはあまりすきじゃないのだがな。
長い長い過去を思い返すと、嫌なこと……思い出さなくて良いことまで思い出してしまう。
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