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今日もこの場所から人間たちの町を見下ろす。
天空から見下ろす町並みは、いつもと変わりは無いように見える。
天空からと言うのはいささか大げさだろうか。
私は人間たちの町から少し離れた、何十段もの階段を登った小高い山の上に佇んでいる。
そこは、地上の家々はおもちゃのようにすら感じるほどの高さだ。
だから、私はここからの眼下に広がる眺めを天空からの眺めと称しているのだ。
ここから見下ろす眺めを私は気に入っていた。
うん。今日も町は平和だ。
地上の様子を監視しているという訳ではない。ただ、町を見守っているだけだ。
そんな事を考えていると、一人の老人が長い長い階段をゆっくりと登ってきた。
その顔は初めて見るものでは無い。久しぶりではあったが。
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