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「私もずいぶんと年をとってしまったなあ。前まではこの坂を登ってきても、息が上がることは無かったんだけどね」
今日のおじいさんは心なしか悲しそうな表情をしているな。
「私も気づかぬ内にずいぶんと年を取ってしまった。もう長くはない……そういう事かな」
自嘲気味におじいさんは言って、ハハハと力無く笑う。
何を言うのだ。
おじいさんの年齢など、私からすれば子供みたいなものだ。
もっとも、私の年齢を人間のものに換算すれば、おじいさんの方がずいぶんと年上ということになるのだろうが。
それでも気に病む必要はない。
この坂を昇りきれるだけの体力があるのだから、まだまだおじいさん若い。
もしもこの思いを伝えることが出来るならば、おじいさんを元気づけてあげるのだが。
私にはただ見守ること。そう、それしか出来ないのだ。
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