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それからもおじいさんの世間話は続いた。
先程までは元気が無かったが、それでもしばらく話すと幾分は普段の元気を取り戻してくれたように見える。
その顔からは笑みもこぼれている。
少しでもおじいさんが元気になってくれるのなら、いくらでも話し相手になろう。
私も人間の他愛ない話を聞くのは嫌いではないしね。
そうしておじいさんの話をしばらく聞いてると、視界の端に小さな女の子の姿を捉えた。
全速力で階段を駆け上がって来たのだろうか。
女の子は頭をうなだれて膝に手を突き、肩で息をしているのがここからでもよく分かる。
「おや、あの女の子いったいどうしたんだろうね。あんなに疲れて」
おじいさんも少女の存在に気付いたようだ。
女の子へと視線を向け、心配そうに見守っている。
女の子も少し休憩して息を整えた後、顔を上げた。
私……いや、おじいさんに気付いたのだろう。
ためらうこと無くこちらへと走ってきた。
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