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「こんにちは、お嬢ちゃん。いったいどうしたんだい?そんなに息を切らして」
おじいさんが駆け寄ってくる女の子に声を掛ける。
女の子は幾分呼吸を整えてから言う。
「うん。あのね、ふもとに階段が見えたから、頂上には何があるのかなぁって気になったの」
「おやおや、それは大変だったね」
穏やかな笑顔を女の子に向けるおじいさん。
その姿からは、本当の孫に向けるような温かさが感じられる。
「ここには特に面白いものは無いんだよ。……ただ、この樹があるだけかな」
「樹…?」
言い終わってからおじいさんは、視線を私へと向ける。
その視線を追って女の子も顔を動かす。
一瞬間の後、女の子は目を輝かせた。
「うわあ…おっきな木…… 」
私の存在に気付いた女の子は感嘆の言葉を漏らした。
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