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「ねえ、おじいさん。この木はなんて言う木なの?」
おじいさんに訊ねる女の子。
だが、おじいさんは苦々しい表情をしている。
「うん……そうだね。この木の名前は私も分からないんだよ。ごめんね」
申し訳なそうにおじいさんは答える。
無理もない。おじいさんが生まれる以前から、私はここにいるのだから。
だが、名前など気にする必要はないよ。名称など、所詮は人間が付けたものなのだから。
私という存在、それだけで十分なのだ。
「ふうん、そうなんだ。じゃあ、おっきな木さんだね」
まあ、好きなように呼んでもらって構わない。
納得するように頷いてから、女の子は私へと振り向く。
「はじめまして、おっきな木さん」
興味に満ち溢れた目を私へと向けてくる。
こんにちは、お嬢ちゃん。初めて見る顔だね。
挨拶をしてくれるのならば、私もしっかりと応えよう。
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