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「紗奈~!!おはよっ♪」
改造計画当日。
私達は学校を休んで改造に挑んだ。
匠君は受験生なので休む事は出来ず、学校が終わり次第合流する事となった。
匠君に指示された通りの美容院に行くと、CLOSEの看板が下げられていた。
定休日なので当たり前だけれど、構わずドアを開けた。
独特な美容院の匂いが漂った。
シンプルだけど所々にお洒落な小物が飾られ、センスのいい空間に思わず後退りする。
私には遠い世界…。
なんて少し戸惑っていると、亜希が私の手を引き、中へと引っ張って行った。
「こんにちは~!」
亜希がいつもの調子で大きく呼びかけるように挨拶をする。
と、奥から雰囲気のいい30歳位の人が出て来た。
「亜希ちゃんと紗奈ちゃん?こんにちは。」
そう言ってにっこり笑うお兄さんの顔は優しい雰囲気たっぷりだった。
暗めの茶髪にはくせ毛風のパーマがかかっていて、整った髭に細身の身体。背は高くはなかったけれど、体型によく合ったセンスのいい服を着こなしていた。
いかにも美容師さんって感じだった。
そんな美容師さんに見とれていると、亜希が自己紹介を始めた。
「初めまして!亜希です。このコが今日お願いしたい紗奈です。よろしくお願いします!」
亜希はいつも私の分も喋ってくれる。私は人見知りが激しく上手く喋れないのを知っているからだった。
それでも何も喋らないのは失礼なので、
「さ、紗奈です…。お、お願いします…。」
と、小声だけれど精一杯の挨拶をした。
すると美容師さんはまたにっこり笑って、
「OK♪匠から話は聞いてるよ。早速始めようか。」
美容師さんの声は低くて、大人な感じがした。
まずは化粧から始まった。
眉毛を整えてもらい、今風のメイクをしてもらった。
なんだかくすぐったいし緊張するしで、頭がパニックだった。
それでも自分が気になる私は鏡をちらちら覗いた。
眉毛を整えただけでも随分印象が変わった様に思えた。
アイメイクに重点を置き、大人っぽくなる様にしてもらった。
メイクをしてもらいながら自分の顔をよく見てみると、目はぱっちりしてるし、鼻も低くはなく整ってるし、以外と顔も小さい。
亜希と並んでも大丈夫なんじゃないかと少し思ったりもした。
この時まで、私はそんなまじまじ自分の顔を見た事がなかった。
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