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亜希はいつでも人気者だった。
美人なのに気さくで明るく、成績優秀スポーツ万能。
私は亜希には何一つとして勝てなかった。
亜希はそんな私にいつでも優しく、勉強を教えてくれたり、相談にも沢山のってくれた。
いつしか、親友と呼べる様な仲になっていた。
そんな亜希と一緒にいても、私の非社交的さは一向に直らなかった。
だから余計に、亜希にべったりになっていった。
そんな素敵な亜希だから、もちろん男子は放っておかない。
亜希はしょっちゅう告白されていた。
けれど、不思議と彼氏は出来なかった。
ある日亜希に尋ねてみた。
「ねぇ、亜希は何で彼氏作らないの?沢山告られてるのに…。」
亜希は照れ臭そうに笑って答えた。
「ん~…なんだろっ。自分が本当に心から好きにならなきゃ、付き合うとかはちょっと…ね。今は紗奈といた方があたしは幸せだなっ♪」
可愛い…
なんだか告白された気分だった。
いや、された経験はないけれど、美人の亜希に言われると、女の私ですらドキッとした。
この時は、いつも私を白い目で見る男子達を、何となく心で嘲笑えたりした。
結局、中学では彼氏を作らずに、亜希は卒業していった。
私達は頭のレベルが違うので、別々の高校へ進学した。
しかし学校は近く、いつも亜希と登下校出来る位置だった。
高校1年の夏。
私は相変わらず友達が出来にくく、亜希はまた新しい友達が沢山できていた。
けれど亜希は、いつも私を最優先に考えてくれていた。
まるで、恋人のように…。
学校に友達がいなくても、亜希がいたから私は新しい環境もやってこれた。
そんな矢先、亜希にとうとう、彼氏が出来てしまった。
しまったなんて言い方、親友として良くないけれど、出来れば、亜希に彼氏が出来て欲しくなかった。
「2コ上の先輩でね、もう引退しちゃうけど、バスケ部のキャプテンなんだっ♪すごく素敵な人なんだよ!紗奈にも今度紹介するね!」
弾んだ声の亜希。
なんだかムカついてしょうがなかった。
亜希を取られてしまった。
私の中には、不安と憎悪が渦巻いていた。
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