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その日、三つになる少年は、庭で蝶を追いかけていた。
白い羽根を持つ蝶は自由自在に飛び回る。
そのひらひらと自由に飛び回る蝶に両手を伸ばし追いかけていた。
「――わっ」
どん、と角を曲がった所で何かにぶつかり、少年は尻餅をついた。
あらまぁ、と声を上げて乳母が尻餅をついた少年に駆け寄る。
「すまないな、大丈夫か?」
乳母が少年に駆け寄る前に、頭上から声が降ってきた。
少年は顔を上げる。
その目に映ったのは、艶やかな黒髪を持ち、薄手の衣を被っている女性。
少年は彼女にぶつかったのか、と納得した。
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