誰がために花は咲く

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――これ、乱法師…蝶は永くは生きられないから、放してお上げなさい。 それは幼き日の記憶――。 その日、蘭丸は一日暇を貰っていた。 というより、今日は信長ではなく、彼の北の方に仕えることとなっていた。 どうやら、言い争いの末、一日だけという条件で収まったらしい。 北の方――濃姫だが、彼女は蘭丸に貝合わせをしようと貝を持ち出した。 無作為に放り出された貝をぴたりとあう二枚貝に戻す、というゲーム。 しかし、濃姫の白い指先はただ貝をなぞるだけ。 蘭丸は不思議そうにその光景を見つめていた。 幼い頃に、そう隣の幼なじみの姫に付き合わされて数えるほどしかしたことない貝合わせ。 懐かしくもあるが、今は一向に貝を合わせようとしない濃姫のことが気になって仕方ない。 .
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