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今日はあの人とたくさん話しちゃったなぁ~☆
でも途中でチャイムがなって……
いいところだったのに……
「チャイムのバカヤロー!!」
今日は半年近く声をかけられないまま、片思いをしていた人とたくさん話した。
たまたま同じだった趣味の話題で盛り上がった。
休み時間の、話し込むにはとても短い間だったけど、まるで自分の口じゃないみたいに話していたと思う。
なのに……
休み時間は短いもので、話がこれからというときになって……
キーンコーンカーンコーン……
馴染みのコレさ。
「なんなのさ!まったく……」
あの話の続きがしたいなぁ……
もう一回でいいから話したいなぁ……
「あの人とあの話の続きがしたいなぁ……」
と、いつもの帰り道にある小さな神社にあるお地蔵さんの頭を、いつものようにペシペシと叩いた。
「なぁ……なんであそこでチャイムがなるのかねぇ?あの話の続きができなかったじゃない!」
オマケとばかりに、最後にバシッと強く一回叩いた。
完全な八つ当たりだ……
ゴメンよ。お地蔵様。
そして頭に手を置いたまま呟いた。
「はぁ……悔いの残る一日だよ。まったく……」
そしてまた自分の家に向かって歩き始めた。
すると……
「おい!―――」
え?
後ろから声をかけられた。
クルッと振り向くと、そこには……
彼がいた。
あの話をしていた彼がいた。
私は混乱していた。
そしてやっとの思いで声を出した。
「なんでいるの……?」
「なんでって……あ、あの話の続きがしたくてさ!」
「え?」
「いや、だから、その……あの話さ。わかんない?休み時間話してたじゃん」
同じこと思ってたんだ……
「続きが話したくてさ……」
「わ、私も!」
「え、ほ、ほんとに?」
「う、うん」
「じゃあどっかで話さない?」
「こ、公園とか?」
「ブッ!」
彼は笑った。というよりも吹き出した。
「な、なんで笑うのさ!」
「いや、ベタだなぁって思ってさ」
「ベタって何さ」
私は頬を膨らませた。
彼の顔が真っ赤になる。
「と、とりあえず行こうか」
「そうだね」
二人は夕日で顔を赤くしながら公園に向かった。
そして時間が許すまでいろんな話をした。
この偶然はもしかしたらあのお地蔵さんのおかげだったのかも………
~終~
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