誕生日3

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オレは左手に水を握りしめたまま固まった。 まだ夢の続き? その全身タイツの外国人はゆっくりと近づいてきた、 そしてオレの前で立ち止まり、ゆっくりと目を見つめてきた、 綺麗な青い色をしていた、身長170ぐらいの普通の人だ、顔付きはロシア系みたいだった。 何故全身タイツなのか、 オレに何の用なのか、 分からない事だらけだった。 先に静かに口を開いたのは全身タイツの外国人だった。 『初めまして、私はジムと言います。』 日本語が上手い! でも、警戒心からか、オレは何も喋らなかった。 『良く目覚めましたね、』とジムが続けた。 気が付くとオレの周りに居た看護士さんも母親も居なくなっていた。 『気分はどうですか?』とジムがさらに続けた。 オレは何も喋べる気分になれず、ベッドに座ったまま、下を向いていた。 『左腕は痛みますか?』 『なっ!』オレはとっさにジムを睨んだ。 『あんた、何? そのタイツは何? 何でオレを知ってる?』 自分の頭で思い付く限りの質問をジムに投げかけた。 ジムは穏やかは表情のまま『私は人間です。あなたと同じ…』 ヤバい! この外国人は頭がおかしい! 急に不安感が湧き出てきた。 そして、オレは少し強めに言った『あのさ、オレ…あんたの事知らないし、一応病人やし… えぇっと…ジムさんでしたっけ? オレはジムさんに用はないから、病室から出ていってよ』少し声が震えた。 多分びびってるんだろうオレは、もう30才にもなるのに、情けない。 すると、ジムはニコッと笑いながら、窓際まで歩いて立ち止まった。 その行動に少し、イラッとなったおれは『出てけよッ』っとキツく言い放った。 『アナタは新しい人間になったんですよ、私と同じ人間に』ジムが淡々と答えた。 オレは正直ため息しか出なかった。
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