春の七日

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2階に上がり、女子部屋を通り過ぎて、クリフとグレイのいる男臭い部屋に入った。 『あれ、二人ともまだ寝てなかったんだ』 グレイなんかサイバラさんと喧嘩していたから、てっきりふて寝でもしたのかと思っていたが。クリフとグレイは自分のベッドに腰掛け話していた。 俺は今日は疲れたからさっさと寝ることにした。布団に潜りこむ。しかし、目をつむった途端に毛布をバッと剥ぎ取られてしまった。 『おい何すんだよ…』 グレイ『馬鹿!寝てる場合じゃねぇ!大変なんだ』 グレイはすごい剣幕をしている。仕方なく起き上がり、話を聞いてやることにした。 『どうしたんだ?』 グレイ『落ち着いて聞けよ…なんと宿屋に新しく人が住み始めた』 『うん』 グレイ『なんとそれが』 『うん』 グレイ『女の子なんだー!』 お前は中学生か。 『知ってるよ、クレアさんでしょ?』 グレイ『知り合い!?』 グレイはメッチャ食いついてくる。 『今朝、牧場で偶然出会ってさぁ…一緒に牧場をやることになったんだ』 クレアさんのことは、町長の家で見捨てられてからどうなったかは知らないが、宿屋に来るとは思っていた。泊まる場所が無いし。
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