冬の国ウィン

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はっきり言って退屈していたのだ。 毎日城の中で勉強の日々。 歳は17、遊びたい時期。 昔は7歳年上の兄が一緒に遊んでくれていた。 だが父が亡くなった事により兄がこの国の王となった。 昔の様に遊べる筈もない。 弟として兄を支えたいがまだまだ子供。 だから勉強とは思うのだが少しは息抜きしないとパンクする。 はぁっと大きなため息一つ。 「あらあら」 後ろからクスクスと笑いながら声をかけられた。 「姉上」 「どうしたのセリオス、退屈?」   にっこりと微笑みながら聞いてくる。 名はアルビレオ・セイファート。 歳は19歳。 美人で可愛い僕の自慢の姉だ。   「はい、もう毎日城の中で勉強です。城の外にも行けず退屈してます」 「遊び相手でもいると良いのに、兵士さんの中で誰かセリオス位の年令の方はいない?」 「む、姉上いるにはいますが皆僕相手では本気で遊んでくれません」 「んー…、なら春の国の王子の所に遊びに行けば?」 「カストルの所に?…ダメですよ、馬を走らせても一ヵ月はかかるんです。ただ遊びにとはいきません」 「むぅ、お役に立てなかったみたいね」 しょんぼりする姉上。 「いえ、姉上とお話できて楽しかったです」 「そう?なら向うにお茶を用意してもらってるから一緒に飲みながらお話しましょう」 そう言って、奥の部屋にとことこと歩いていく。 その後ろ姿を追い掛けながら思う。   友達か… 本当にそういえる人に会ったことないかも、と。
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