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「どっかで車でも見付けるさ」
江原には古川が返した。古川も江原同様、チームの輪を乱さないようにと努力したのだ。
「お、おい!」
突拍子もないまま発された下野の声で、一同は振り返った。
「何だよ!?」
下野は交差点の先にあるファミレスを指差して口をぽかんと空けていた。
「今、あそこのファミレスで何か動いたんだよ!お前らも見ただろ!?」
信じられないといった表情で下野は動かない。
「どうせ死人だろ....。近くにいるなら早く逃げようよ」
古川は下野の発言を撤回して不安を消そうとするが、下野は引かない。
「暗くて分からなかっけど、アイツは俺らを見て隠れたんだ!マジで人だって!」
四人はファミレスの窓を何個か凝視するが、下野の言う『人』は全く姿を現そうとしない。
「行く....か?」
「俺はゴメンだよ。そんなワケの分からない奴らに接近できるか!もし行くのなら三人で行ってくれ」
言い終わるや否や、古川は戦車の上にどっかりと座り込む。血の無いスペースを見付けて座るところが実に彼らしい。
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