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――――。
「下野、禁煙席任すわ。俺は喫煙席の方を見るから」
厨房から客席に戻ると、井手口が下野に指示した。こんな場所に長々といたくないこともあってか、江原や井手口は手分けしての捜索を勧めている。
「あいよ」
考えは同じだ。下野自身こんな場所に長時間いたくなかった。下野は井手口に背を向け、ショットガンを構えながら禁煙席に向かった。下野の親指はショットガンの銃把を強く握りしめているため、常に白くなる。
確かに見たのだ。
戦車の上で雑談していると、誰かがこちらを見ていたのを。しかもそれは位置からして禁煙席だったのだ。
禁煙席はほぼ全て四人席。席と席の間はスモークガラスのついたてで仕切られており、視界が悪い。突如襲われたら歩が悪いのは明らかだ。
「頼むぜ神様」
再びショットガンを構えると下野は席を一つ一つ確認しながら進んだ。
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