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下野は男の腕を掴み、必死に抵抗する。それでも男は下野の顔面を狙い続けている。
「このイカれ野郎がッ!」
下野は男を睨み付けた。男の力は強まり続ける一方。一気に勝負を決めるつもりだ。更に力が加えられ、下野は組み伏せられて下にいるせいか、腕の力が抜けて行く。
そこで下野は命を張った大きな賭けに出た。最後の一瞬で全てを任せる。男の腕を掴んでいた自分の腕をわざと放すという暴挙に出たのだ。
放した瞬間には、包丁が顔面に突き立てられることになるが、下野はそうなる前に顔を大きく反らした。
するとどうだろう。男は包丁を一気に下野の顔があった場所に突き刺す。必然的な流れだ。
しかし顔を反らしている下野には関係の無い話だ。包丁は客席に深々と突き刺さった。
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