ゴーストタウン

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男は下野の忠告も聞く姿勢も見せずに起き上がり、包丁に手を伸ばそうとする。 下野は男の頭をショットガンの銃把で殴り飛ばす。くぐもった呻き声を上げ、男は倒れた。しかし何がそうさせるのか、男は片方の手で痛む頭を押さえながらも、空いた片手で包丁に再三手を伸ばしたのだ。 「くっ....!」 限界だ。男は狂っている。死者でもない下野自身を殺そうと動いてしかいない。下野は男の右足にショットガンを向け、引き金を引いた。 ズドン、と雷の落ちたような音が店内に轟き、反動に下野は仰け反った。大量の散弾を撒き散らしながら発射された弾丸により、男の右足には微小の穴が何十と開いた。 「ぐああああああ!!」 男の右足の神経やアキレス腱が散弾によって無残にも断ち切られ、男の右足の機能は完全にマヒする。男は包丁に手を伸ばす余裕すら無くなった。 下野は素早くショットガンのポンプアクションを終えると、破れた空薬莢を吐き出させ、男が再度抵抗の意思を見せてもいいように引き金に指を置く。
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