プロローグ

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それにジャンボ機が墜ちた原因というのは整備ミスでも何でも無い。 ミサイルで撃ち落されたのだ。 山下隊長の手によって。 撃ち落とした理由? これを本人から聞いた時、高橋は笑うしかなかった。これほどベタな答えは無い。 『金』の為だった。 死んだ仲間の仇にと、山下隊長を殺害した高橋。しかし高橋は一気に多くの物を失ってしまった。 「___橋!高橋!!」 高橋の思考はそこでストップした。 「大丈夫?」 友安だ。 基地からヘリコプターで助けに来た仲間の友安が視界に大写しになった。高橋の目の前で意識を確認するように手を振っていた。 「あ、ああ....大丈夫」 操縦は同じく仲間の山口に任せてある。 「今から何処に?」 「基地だよ。弾薬とかも減ってるし、もっと装備がいる」 立ち上がり、小窓から地上を見下ろす。まだ自分が死闘を繰り広げた90式戦車が見える。 戦車の上には全身に5.56ミリ弾を浴びるだけ浴びて事切れた死体が二つ。 有村と山本だった。 最後の一瞬にすがるように二人は起き上がった。やがて山口の手にしたマシンガンが、二人を穴だらけの物体に変えたのだ。 ヘリは戦車から遠ざかる。高橋は戦車をずっと見つめていた。 仲間を....最後まで見届けたかった。
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